こんにちは♪
今回はカラオケから少し離れた、こちらのテーマでお話ししていきたいと思います。
外郎売のあらすじが知りたい!
外郎売ってどんな話なの?
外郎売(ういろううり)は、アナウンサーさんや俳優さんなど、滑舌が求められる職業の方たちが口を回す体操として使う、一人語りの長セリフになります。
私も学生時代、放送部に所属していたため、外郎売はそのころに丸暗記しました。
これ、MAXスピードでしゃべっても、最初から最後まで言い終わるのに5分くらいかかるので、かなり口の体操になるんですよ♪
ただ、この外郎売。
しゃべり口調が現代の言葉ではなく、落語のような一昔前のしゃべりなので、覚えづらいという方が結構いらっしゃるんです。
外郎売の作中で語られる内容や意味が分からず、闇雲に覚えようとして挫折してしまうケースが多々あります。
そこで本記事では、外郎売のあらすじや意味、内容を分かりやすくお話ししますよ。
「外郎売ってどんな話なの?」と気になっているそこのあなた!
ぜひ参考にしてみてくださいね♪
外郎売のあらすじは?
外郎売を実際に一度聞いてみると分かるのですが、大きく分かれて、3つのパートに分かれています。
こちら、人気声優の梶裕貴さんがご自身のチャンネルで外郎売をフルバージョンで朗読されていますので、ぜひ聞いてみてください。
最初の方は、あいさつのような感じで、自分という人間を紹介しているようなイメージですね。
そして、中盤に入ると、言いづらそうな早口言葉がとめどなく続く、怒涛のゾーンに突入します。
そして、早口言葉ゾーンを抜けると、また少し落ち着いた雰囲気で、最後のあいさつを述べている、といった流れです。
では、『外郎売』という台本は、どのような話なのでしょうか?
答えは簡単。
外郎売を一言で説明すると、【実演販売】なんです!
テレビショッピングや、商業施設でたまに目にする実演販売。
販売員さんが、商品の魅力を実演しながら華麗なトークで場を盛り上げ、お客さんたちの「買いたい!」という気持ちを高める、アレです。
実は、『外郎売』の「外郎」とは、現在親しまれている甘いお菓子ではなく、当時外国から渡ってきた、万能薬のことを指しています。
そして、この万能薬がいかに由緒正しいものなのか、そして、効能がどれほどすごいのかを、「外郎売」=「外郎の販売員」が実演販売をしている、という状況になんです。
つまり、これから外郎売をマスターするあなたは、外郎という商品を人々に買ってもらえるよう、実演販売をする販売員さんということになりますね。
これだけでも、大まかな世界観はお分かりいただけたのではないでしょうか?
それでは、次の章からは、外郎売の本文を細かく見ていきたいと思います。
外郎売ってどんな話なの?
それではここからは、『外郎売』の本文を、段落ごとに分けて、詳しく見ていきたいと思います。
先ほどお話した、「実演販売」というイメージを忘れずに、読み進めていただければ幸いです♪
段落1:自己紹介
御存知のお方も御座りましょうが、
御江戸を発って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて、
青物町を登りへおいでなさるれば、
欄干橋虎屋藤衛門、
只今は剃髪致して、円斎となのりまする。
こちらの段落では、自己紹介をしています。
“自分には、こんな素晴らしい先生がいて、その方からこんなものを預かっているんです”という感じですね。
その「預かったもの」というのが、外郎になります。
段落2:外郎の紹介
お手に入れまする此の薬は、
昔ちんの国の唐人、
外郎という人、我が朝へ来たり、 帝へ参内の折から、
この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、
冠のすき間より取り出す。
依ってその名を帝より、
とうちんこうと賜る。
即ち文字には、
「頂き、透く、香い」と書いて
「とうちんこう」と申す。
自己紹介が済んだところで、本題の外郎の紹介に入るのがこちらの段落になります。
ここで、帝から「透頂香(とうちんこう)」という名前を賜った、由緒正しき薬だということを説明しているんですね。
段落3:偽物が出回ってるから、気をつけてね
殊の外世上に弘まり、方々に似看板を出し、
イヤ、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、
色々に申せども、
平仮名をもって「ういろう」と記せしは、
親方円斎ばかり。 もしやお立ち会いの中に、熱海か塔ノ沢へ湯治にお出でなさるるか、
又は伊勢参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
お登りならば右の方、お下りなれば左側、
八方が八棟、表が三棟玉堂造り、
破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、
系図正しき薬でござる。
有名でスゴイ薬となった外郎は、偽物が出回るようになってしまったそうです。
現代でも、人気の商品には偽物が必ず出回っていたりしますよねw
あれと同じです。
「色んなところで偽物が売られているけど、ひらがなで「ういろう」と書いていいのは、ウチの商品だけだよ!」と、本物であることをアピールしています。
『商標登録してあるのはうちだけだよ!』みたいなもんですねw
最後に、「くれぐれも偽物には手を出さないでね」と念も押しています。
段落4:自慢ばっかりでごめんねw
御存知ない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船、
さらば一粒食べかけて、
その気見合いをお目にかけましょう。
先ずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして、
腹内へ納めますると、
イヤどうも云えぬは、胃、心、肺、肝がすこやかになりて、
薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し、
魚鳥、茸、麺類の食合わせ、其の他、万病速効ある事神の如し。
これまで散々、身の上話やら外郎の説明やらをしておいて、ここでハッと我に返り、「自慢ばっかりじゃつまらないよね」と、お客さんに寄り添う態度を見せます。
(これも、販売員としての作戦なのでしょうw)
そして、「百聞は一見にしかず!実際に一粒飲んで、効能をお見せしましょう!」という形で、ここから実演販売へと移っていく流れとなります。
「外郎を一粒飲んだ瞬間に、内臓が元気になって、爽やかな風味と香りが広がる」と、グルメリポーターばりの表現力で、外郎の最初の効能を伝えています。
加えて、あらゆる食材と食べ合わせが抜群に良いことや、万病に効く奇跡の薬であることを付け加えています。
段落5:実はこの薬、めちゃめちゃ饒舌になるんですよ
舌のまわることが、銭ゴマがはだしで逃げる。
ひょっとしたがまわり出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。
さて、ここからが実演販売員としての腕の見せ所です。
外郎を飲んだ瞬間に、滑舌がどんどん良くなって、難しい早口言葉をすらすら言えるようになります。
もちろん、販売員自身は普段から言える言葉なのですが、あくまで、”外郎を飲んだおかげで言えるようになった”という風に見せて、お客さんを魅了するわけです。
そして、その効能を見せつけるため、この後、怒涛の早口言葉ゾーンに突入するわけですね。
段落6:早口言葉ゾーン
アワヤ咽、さたらな舌にカ牙サ歯音、
ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに、
あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろを、
一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、
盆まめ、盆米、盆ごぼう、摘立、摘豆、つみ山椒、
書写山の社僧正、
粉米のなまがみ、粉米のなまがみ、こん粉米の小生がみ、
繻子ひじゅす、繻子、繻珍、
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親かへい子かへい、子かへい親かへい、
古栗の木の古切口。
雨合羽か、番合羽か、貴様のきゃはんも皮脚絆、我等がきゃはんも皮脚絆、
しっかわ袴のしっぽころびを、三針はりなかにちょと縫うて、ぬうてちょとぶんだせ、
かわら撫子、野石竹。
のら如来、のら如来、三のら如来に六のら如来。
一寸先のお小仏におけつまずきゃるな、細溝にどじょにょろり。
京のなま鱈奈良なま学鰹、ちょと四、五貫目、
お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ、茶立ちょ、
青竹茶せんでお茶ちゃと立ちゃ。
来るは来るは何が来る、高野の山のおこけら小僧。
狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。
武具、馬具、ぶぐ、ばぐ、三ぶぐばぐ、合わせて武具、馬具、六ぶぐばぐ。
菊、栗、きく、くり、三菊栗、合わせて菊栗六菊栗、
麦、ごみ、むぎ、ごみ、三むぎごみ、合わせてむぎ、ごみ、六むぎごみ。
あの長押の長薙刀は、誰が長薙刀ぞ。
向こうの胡麻がらは、えのごまがらか、あれこそほんの真胡麻殻。
がらぴい、がらぴい風車、
おきゃがれこぼし、おきゃがれ小坊師、ゆんべもこぼして又こぼした。
たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、
たっぽたっぽの一丁だこ、
落ちたら煮て食お、煮ても焼いても食われぬものは、
五徳、鉄きゅう、かな熊童子に、石熊、石持、虎熊、虎きす、
中にも、東寺の羅生門には、茨城童子がうで栗五合つかんでおむしゃる、
かの頼光のひざもと去らず。
鮒、きんかん、椎茸、定めて後段な、そば切り、そうめん、
うどんか、愚鈍な子新発地。
小棚の、小下の、小桶に、こ味噌が、こ有るぞ、
小杓子、こ持って、こすくって、こよこせ、おっと合点だ、
心得たんぼの川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚は、走って行けば、
やいとを摺りむく、三里ばかりか、藤沢、平塚、大磯がしや、
小磯の宿を七つ起きして、
早天早々、相州小田原とうちん香、
この部分に、意味はありませんw
早口言葉が言えることを見せつけるためのパートですから、ただひたすら早口言葉を並べているだけですからねw
いうなれば、たまにテレビ番組の企画などでアナウンサーさんが挑戦している「難読用語ニュース」みたいなものです。
あれも、意味はめちゃくちゃですが、とにかく読みづらくて難しい単語を並べている原稿ですからね。
ここぞとばかりに、外郎の効能を見せつけるつもりで早口言葉を言っていきましょう。
段落7:さぁ、買った買った!
あれあの花を見てお心をおやわらぎやという。
産子、這子に至るまで、
この外郎のご評判、ご存じないとは申されまいまいつぶり、
角出せ、棒出せ、ぼうぼうまゆに、臼、杵、すりばち、ばちばちぐわらぐわらぐわらと、
羽目をはずして今日お出でのいずれも様に、
上げねばならぬ、売らねばならぬと息せい引っぱり、
東方世界の薬の元締め、薬師如来も照覧あれと、
ホホ敬って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。
早口言葉ゾーンが終わった後は、ダメ押しの売り文句で締めます。
一番最後の、「ういろうは、いらっしゃりませぬか。」は、「ぜひ、外郎をお買い求めくださいませ!」という意味ですからね。
まさに、実演販売そのものです。
外郎売の意味や内容をもっと詳しく知りたい!
先の章では、外郎売のあらすじと、話の大まかな流れをお話ししました。
ただ、ここまでお読みの方の中には、以下のようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
外郎売がどんな話なのかは分かったけど、もっと細かく知りたいなぁ
実際に外郎売を覚えるとなった場合、話の大まかな流れが分かっても、各文の意味が分からないと、覚えにくくて効率がよくありません。
そこで、外郎売の本文の全訳解説記事を現在執筆中です!
完成次第、リンクを貼りますので、ぜひご活用くださいね。
まとめ
今回は、外郎売のあらすじについてお話しました。
ご参考になれば幸いです♪
コメント